モニター環境の構築
一般的にレコーディングの際は、クリック(メトロノーム)やオケ(カラオケのこと)などを聞きながら、ギターやボーカルを録音します。
この時ヘッドホンから聞こえてくるのはクリックの音と自分が弾いているギターの音です。
クリックの音、自分のギターの音を聞くことを「モニターする」と言い、そのための環境のことを「モニター環境」などと言います。
音楽制作時のレコーディングにおいて、モニター環境の構築は必須です。
宅録の場合それほど大げさなものでなくても大丈夫ですが、モニター環境は「良い録音」に大きく影響しますので、ある程度の環境づくりは大切です。
例えばボーカル録音で、ボーカルの返し(自分が歌う声の音量のこと)がオケより小さいと無意味に声を張り上げてしまいますし、逆にボーカルの返しが大きいと抑えて歌ってしまいます。
また、ある程度リバーブがかかっていた方が気持ちよく歌うことができます。
お風呂で歌うと気持ちがいいですもんね。
レコーディング時においても同様で「気持ちよく弾ける」「気持ちよく歌える」というモニター環境を作ることが「良い録音」につながります。
レコーディングスタジオでは「ドラムの音を大きくしてほしい」などエンジニアに注文を出せば対応してくれますので遠慮なく言ってください。
このようにモニターの環境次第でレコーディングの質が決まりますので、宅録でのモニター環境作りについて話します。
密閉型のヘッドホンを使う
マイク録音では必ず密閉型ヘッドホンを使います。
メトロノームやモニター音を聞きながら録音するときに、その音がマイクから入らないようにするためです。
また、音色の確認、ノイズの有無も確認もしますのでライン録音でもヘッドホンを使うようにします。
ハンディレコーダーを使った録音でもヘッドホンを使いモニターしながらレコーディングします。
特に弾き語りの一発録りなどは、ギターとボーカルの音量バランスが分かりやすく、良い録音ができます。
MTRはフェーダーで「再生するトラックの音量」と「録音する楽器のモニター音量」のバランスを取ります。
レイテンシ対策
DAWでのモニター環境で特に注意することはレイテンシです。
レコーディングではレイテンシが50ms(=0.05秒)もあると、まともに演奏できず致命的です。
電話でもテレビの中継でも音に遅れがあると不自然ですよね。
それと同じ状態が演奏中に起きるということです。
ハイスペックなパソコンと低レイテンシのオーディオインターフェースを使用して、レコーディングに問題となるようなレイテンシが発生しなければ何の問題もありません。
問題となるのはトラック数やプラグインの数など、様々な悪条件が重なって「レイテンシが酷すぎて、演奏しづらい」というときです。
こういった問題を回避するためにダイレクトモニタリング機能があるASIO2.0ドライバ対応のオーディオインターフェースを使うことをお勧めします。
ダイレクトモニタリング機能は「DAWソフトを通らずに、入力信号をそのまま出力する機能」です。
これによりレイテンシなしで入力信号をモニターすることができます。
セッティング
DAWでの録音
前述のダイレクトモニタリングのデメリットは、プラグインのエフェクターをかけてモニターできないことです。
例えばディストーションなどの歪み系をプラグインで歪ませる場合、全くお話になりませんので他の対策が必要です。
アコギのレコーディングでモニター音に欲しいエフェクトはリバーブです。(録音される音声信号にはリバーブはかけません。リバーブ搭載オーディオインターフェース参照。)
やはりアコギもリバーブがかかっている方が気持ちよく弾けます。
モニターの返しのみにリバーブをかける方法としては、次の2通りです。
- リバーブ搭載オーディオインターフェースを使う。
- オーディオインターフェースにリバーブが無い時は、別にリバーブを用意してモニター音にかける。
私がお勧めするのは、4ch以上の出力のあるオーディオインターフェースと小型ミキサーを使ってキューボックスを作ることです。
このようにすると、モニター音にリバーブがかかり、且つ演奏者が手元でオケとアコギのバランスを直接調整することができます。
演奏者がストレスなく演奏に集中することで、良い録音になります。
MTRなど
ハンディレコーダーやMTRを使う場合は、セッティングにそれほど問題はありません。
機材の説明書のとおりセッティングします。