【ケーブル】バランス伝送(平衡伝送)ってナニ?
バランスとアンバランス
バランス伝送について、#48 ダイレクトボックス(D.I)の役割 「インピーダンス」「バランスとアンバランス」で簡単に説明しましたが、ここではもう少し詳しく見ていきたいと思います。
少しおさらいすると、信号の伝送には様々なものがありますが、アコギを趣味とする場合に必要となる知識として「バランス」「アンバランス」というものがあります。
バランス伝送はステージからPA卓などの長距離(数十メートル)のとき、アンバランスはアコギからアンプまでのような短距離(数メートル)のときに使われます。
バランス伝送が長距離の伝送に向いている理由はその仕組みを理解すると納得ができます。
アンバランス伝送とバランス伝送の仕組みを簡単に説明します。
その仕組み
アンバランス伝送
アンバランス伝送は本来の信号を伝える電線(HOT)と接地線(GROUND)の2本の線を使います。
ギターシールドはアンバランスで、プラグはこんな感じですね。
下図のように、アンバランス伝送は外からノイズが乗ったときそのまま音を出すしかありません。
バランス伝送
アンバランスにもう1本電線(COLDと呼ばれます)を足します。そこには本来の信号(HOT)と位相を逆にした信号を同時に流します。
位相を逆にするというのは、下図でいえばHOT側の信号波形を上下に反転させることで、そのような信号を電子回路で作り出すことです。
ミキサーなどでHOT、COLD、GROUNDの信号を受け取りますが、そのときCOLD側の信号の位相を再び逆にし、HOT側の信号に加えます。
すると伝送時に外からノイズが乗ったとしても打ち消すことができます。
これが基本的なバランス伝送の仕組みです。
バランス伝送には3本の電線が必要ですので、そのようなケーブルを使う必要があり、プラグで簡単に見分けることができます。
必要な機材とケーブルを購入すべし
ライブなどで長距離の伝送が必要な時はバランス伝送を使うということです。
バランス伝送できるかどうかは、その機材がバランス出力できる回路を持つかどうかで決まります。この回路を搭載している機器がDIです。またアコギ用のプリアンプにも搭載されているものがあります。エレアコのピンジャックはアンバランス出力なので、バランス出力が必要なときはこのような機材が必要です。
バランス出力できるかどうかは、その機材の仕様書に書いてありますので、購入するときには検討してください。
そして適切なケーブルを使うことが「いい音」に繋がるのです。