レイテンシを考慮する
レイテンシとバッファサイズ
録音時の信号の流れは、音がオーディオインターフェースから入り、AD変換されパソコンに取り込まれ、DAWソフトでエフェクト処理や録音をし、DA変換してオーディオインターフェースからヘッドホンに返ってきます。
この一連の流れには時間がかかり、出力音は入力音に対して遅れることになります。
この遅延時間をレイテンシと言います。
レイテンシがどの程度発生するかは、再生・録音しているトラック数、プラグインの数、パソコンの性能、オーディオインターフェースの性能、サンプリングレートなどで変わってきます。
レイテンシは録音の質に大きく影響していて、レイテンシが大きいと上手く録音することができません。
レイテンシはできるだけ小さい方が録音には有利ということです。
レイテンシはバッファサイズというものと大きく関わっています。
バッファサイズは、バッファメモリのサイズの事です。
バッファメモリはデータを一時的に保管しておくメモリのことです。
DAWソフトにはバッファサイズを設定する箇所がありますので、レイテンシが極力小さくなるように設定することがレコーディングでは大事になります。
少し難しい話をしましたが、音楽制作において大事なことは以下の通りです。
- バッファサイズを大きく設定するとCPUの負荷が減りパソコンの動作が安定しますが、レイテンシが大きくなります。
- バッファサイズを小さく設定するとレイテンシは小さくなりますが、CPUの負荷が増えるためパソコンの動作が不安定になり、音切れや、ノイズの発生、パソコンのフリーズを起こします。
パソコンの動作を安定させ、且つレイテンシが極力小さくなるようにバッファサイズを設定することが大事です。
レイテンシを小さくするためには、高性能なパソコンと低レイテンシのオーディオインターフェースを組み合わせることが必要です。
オーディオインターフェースを選ぶときは低レイテンシなものを選んでください。
ドライバ
プリンタやモデムをパソコンに接続するときと同様に、オーディオインターフェースを動作させるためにはドライバが必要です。
ドライバでは、入出力の設定、サンプリングレートやビット数の設定、バッファサイズの設定などをします。
オーディオ用のドライバとしてはASIO、CoreAudioが有名です。
ドライバの選択も、前述のレイテンシに非常に大きく影響します。
低レイテンシを実現するために独自のドライバを開発しているオーディオインターフェースもあります。
主流はASIOで、レイテンシが小さく、ダイレクトモニタリング機能が特徴で、ほとんどのオーディオインターフェースがASIOドライバに対応しています。(AVID製品は低レイテンシ―モニタリングという技術がある)
ダイレクトモニタリング機能は「DAWソフトを通らずに、入力信号をそのまま出力する機能」です。
これによりレイテンシなしで入力信号をモニターすることができます。
ただし、入力信号はDAWソフトを通らないのでプラグインエフェクトを使ったモニターはできません。「モニター環境の構築>レイテンシ対策」を参考にしてください。
初心者がオーディオインターフェースを購入するときはASIO2.0以上に対応したものがオススメです。
また、Mac OS X以降のCoreAudioはASIOと同等のものとされているので、MacではCoreAudioが利用されています。
DAWソフトからオーディオインターフェースを使って音をやり取りするには、DAWソフトもそのドライバに対応している必要があります。
DAWソフトを購入する際も、対応ドライバの確認には要注意です。